【軽貨物】業務・事故の記録と国土交通大臣への報告を解説!怠った場合の罰則が重すぎる

【軽貨物】業務・事故の記録と国土交通大臣への報告を解説!怠った場合の罰則が重すぎる
  • 業務と事故の記録ってどう書くの?
  • 事故を起こしたらどうやって国土交通大臣に報告するの?
  • 手間が増えて大変そう・・・

仕事中に業務や事故の記録を付けるのは大変ですよね。実際に業務・事故記録を書くとなると、何をどんな風に書けば良いのか分からないものです。

ただ、怠っていると行政処分を受けて業務停止になってしまう可能性もあります。

私は2023年に軽貨物ドライバーになりました。Amazonフレックスの配達は25,000個以上・出前館・ウーバーイーツの配達は500件以上、地道に配達を重ねて月収40万円以上を達成しました。

実際の経験を元に、この記事では業務や事故記録の概要と書き方を解説していきます。

記事を読むメリット

●業務・事故記録の書き方が分かる

●事故を起こしてしまったらどこに報告すれば良いか分かる

実際に業務・事故記録を書くときになって困らないように、事前に知識は入れておきましょう。

 

貨物軽安全管理者の改正で業務と事故の記録が義務になった

大前提として2025年の4月1日から法改正がされ、貨物軽自動車安全管理者の講習の受講と届け出・運転者適性診断を受ける、業務・事故の記録・事故の規模によって国土交通大臣に報告することが義務になりました。

困ったことに法人も個人事業主も関係なく、私たち軽貨物ドライバーも対象になるため「知らなかった」は通用しません。

  • 大型トラックのドライバー
  • 宅配のドライバー
  • ルート配送のドライバー

軽貨物ドライバーだけでなく、運行や宅配などのドライバーと呼ばれる業種であれば全てが対象になります。

業務記録は項目ごとに記入して仕事の日には毎回記録しないといけません。事故記録は規模の大きさに関係なく、全て記録しないといけません。

また、事故の規模が大きい場合は国土交通大臣に報告する義務もあります。

特に業務記録に関しては、仕事の際に毎回記入するので手間と時間が大きくかかります。少しでも手間と時間を削減するには、氏名や車両ナンバーなどは事前に記入しておくしかありません。

「それなら書かなくて良いのでは?」と思うかもしれませんが、業務・事故の記録は義務なので記録を怠った場合は、行政処分を受ける可能性があります。

行政処分を受けると業務停止や罰金など、こちら側にとって不利なことにしかなりません。そうならないように事前に知識を付けておきましょう。

 

業務記録の概要と書き方

業務記録は12項目を記録する

軽貨物ドライバーに義務付けられた業務記録は、以下の12項目を毎日記載する必要があります。

  • 運転者の氏名・車両ナンバー
  • 業務の開始地点・業務開始の日時
  • 走行開始時のキロ数・経由地の詳細
  • 休憩記録・業務終了の地点
  • 走行終了時のキロ数・実際の走行距離
  • 交替記録・異常事態の報告

上記のように業務の記録だけでもかなりの手間がかかり、実際に軽貨物ドライバーで稼働している身としてはあまり現実的ではありません。ただ、業務の記録を付けていないと今後罰則が増える可能性もあるためリスキーです。

正直かなり面倒で手間もかかりますが、記入できそうな部分を事前に記入しておけば少しは負担が減ります。事前に記入できるのは、「運転者の氏名・車両のナンバー・交替記録」です。

ヤス
ヤス

事前に記入できるものは記入しておいて、単日の負担を減らしていきましょう。

 

1年間は保存義務がある

業務記録は1年間の保存義務があり、電子データの場合も同様です。ただし労働基準法では5年保存が推奨されるため、労務管理上は長期保存が望ましいとされています。

業務記録を保存する際に、紙の状態と電子データでは保存方法が違うので注意してください。

業務記録の保存方法

紙媒体:日付順に保存

●電子データ:改ざん防止機能付きのクラウドにバックアップ、日付や車両番号で検索可能にする

紙媒体の方は本のように冊子にするのが推奨されています。ただ、業務記録にパンチで穴を開けてファイルに閉じた方が楽です。

私は電子データの方が楽で良さそうだなと思ったのですが、個人事業主向けのものが見つりませんでした。電子データ形式は企業向けのものが多く、「社用車〇台以上」の条件があり月額費用も何千円単位でかかるので、導入するのは難しいです。

個人事業主で業務記録を付けるなら紙媒体がメインになってくるでしょう。

 

虚偽の記録は行政処分を受ける可能性がある

もしも業務記録に虚偽の記録をした場合、行政処分や罰則を受ける可能性があります。虚偽の記録が発覚した場合の罰則は以下の通りです。

  • 50万円以下の罰金
  • 事業許可の取り消し
  • ネガティブリストに掲載

50万円以下の罰金は継続的に虚偽の記録が発覚したときに科せられ、例えば1ヶ月や3ヶ月の間、継続的に虚偽の記録を付けていたときが該当します。たまに記憶がはっきりしなくて「確かこうだよな・・・?」となる場合がありますが、これは継続的な虚偽ではないため罰金は発生しないので安心してください。

事業許可の取り消しはその名の通り事業ができなくなり、当然収入も入ってこないので死活問題です。そんなリスクを背負うくらいなら、少し面倒でもちゃんと業務記録を付けていた方が絶対に良いです。

虚偽の業務記録を付けていると「ネガティブリスト」に掲載されてしまう可能性があります。

ネガティブリストとは原則として全ての行為が許可されており、リストに記載されたものだけが禁止または制限されるという仕組みです。つまり事業を禁止されたり制限されたりして満足に稼働できません。

特に「走行距離の水増し報告」や「休憩時間の短縮記載」が重点監査対象となり、2025年4月の法令改正後はGPSログと日報の突合検査が強化され、30分以上の不一致で行政指導が入ります。

ネガティブリストは国土交通省のHPで事業者名を公表されてしまいます。
国土交通省:ネガティブ情報等検索サイト
そのため、仮に取引相手がそれを見てしまった場合、仕事が無くなるのは想像ができるでしょう。

業務記録に虚偽の記録をすると事業ができなくなるだけでなく、その後にも悪い影響が出てしまう上に罰金まで付いてきます。良いことは何も無いので、業務記録はしっかりと正しい記録を残すようにしましょう。

マイさん
マイさん

虚偽の記録は廃業を覚悟するくらい危険なのね・・・

 

業務記録の記入例

ここでは業務記録の書き方について解説していきます。書式は自由なので私が作った書式をベースに見て行きましょう。

運転業務記録PDF

内容だけ見ると簡単に書けそうですよね。苦戦しそうなのは「経由地の詳細」でしょう。

私たち軽貨物ドライバー、特に宅配をメインにしている人にとっては経由地が100件以上あるので、例え記入欄が10行あったとしてもとても書ききれません。

今は宅配に関して経由地のレギュレーションが出ていません。そのうち、どうやって記入するべきか案内が出てくるはずなので、その時まではとりあえずは「○○周辺」のように記入するしかありません。

記入した例は以下の通りです。

これを業務がある日は毎回記録しなければいけません。慣れれば記録するスピードも上がるので、地道に慣れていきましょう。

ヤス
ヤス

業務記録は必要な項目があれば順番は関係ありません。

 

事故記録の概要と書き方

人身・物損のどちらも全て記録する

軽貨物事業における事故記録では、人身事故と物損事故の区別なく全件の記載が義務付けられています。物損事故でも「ガードレール接触」「積荷落下による道路損傷」など、軽そうに見える事故も記録対象です。

特に物損事故は警察の実況見分調書が作成されないため、事業者側の自主的な記録が証拠保全の鍵となります。そのため、虚偽の記録をした場合は行政処分や罰則を受ける可能性が高いです。

人身事故の記録
●負傷者の氏名・連絡先・傷病名(診断書の写しを添付)
●救急搬送先・治療経過

もし人身事故を起こしてしまった場合記録も大事ですが、まずは被害者の身の安全を確保しましょう。救急車と警察に連絡をしたり、周囲が危ない状況ではないか確認して、自分と被害者の両方が安全に行動できるようにしてください。

物損事故の記録
●損傷箇所の写真(360度と全景・接写)
●修理の見積書・代車使用記録

物損事故の場合は損傷箇所の写真が必要となります。

原因と再発防止策の記入が必要

事故記録の核心は「根本原因の特定」と「防止策」の記載です。単なる「運転手の不注意」ではなく、なぜ事故が起きてしまったのか探る必要があります。

事故報告書類

画像下部に「事故の原因・再発防止対策」があり、なぜ事故が起きてしまったのか?再び事故を起こさないためにはどうすれば良いのか?を記入する必要があります。

事故の原因は例えば以下のようなものです。

  • 左折時に角度が深すぎて電柱に接触した
  • 脇見運転をしてしまい通行人に接触してしまった
  • 交差点で右折時に安全確認が不十分で原付に接触した

交通事故の多くは人的要因によるもので、運転者と歩行者・対向車など人が原因で事故が起こります。どうしようもない状況もあるかもしれませんが、基本的には十分に注意していれば事故の可能性はグッと減ります。

そのため、事故の可能性を少しでも下げるためにも再発防止対策は必要です。再発防止対策は「3ヶ月以内に実施完了可能な具体案」を記入する必要があります。

例えば以下のようなものです。

  • 運転者適性診断を受診し、自分の注意力・弱点・危険予測を把握して実務に活用する
  • 運転中は脇見運転をしないために、他のことに注意を向けないよう注意トレーニングを実施する
  • 安全確認の精度を高めるために、JAFの交通安全トレーニングに参加する

具体的な対策を求められているので、「気を付ける・注意する」など客観的に見て対策しているのかどうか分からないものはNGです。

再発防止対策は事故の原因に対して「何をどうするのか」を具体的に記入していきます。そのため、数値など根拠になるものがあれば説得力が増すでしょう。

事故を起こしてしまったときは事故記録を作成する義務があります。もし作成しなかった場合、行政処分や罰金の可能性が高いので、2次被害を出さないためにも事故記録はしっかりと作成しましょう。

マイさん
マイさん

再発防止対策は実行する必要があるから具体的に記入するのね!

 

事故記録の記入例

ここでは事故記録の記入例を解説していきます。自動車事故報告書は2枚記入する必要があるのでそれぞれ見ていきましょう。

1枚目に記入するのは事故の発生場所や車両の番号・事故になったときの状況です。事故の状況は詳しく記入するようにしましょう。

現場の略図に関しては手書きでも良いですが、Googleマップで検索して貼り付けたり、ストリートビューを印刷して貼り付けてしまうのが簡単です。

当時の処置や事故の原因・再発防止対策も記入していきます。特に事故の原因と再発防止対策は具体的に記入するようにしましょう。

2枚目は車両の概要や事故当時の状況・運転者について記入していきます。基本的に書式に書いているものを選択していくことが多いので、該当するものを選んでいきましょう。

書類だけでなく事故当時の写真があれば、写真も一緒に保存しておきましょう。事故を起こさないのが1番良いですが、もし起こしてしまった場合は30日以内に事故記録を作成してください。

ヤス
ヤス

事故記録は事故を起こしてから30日以内に作成し、事業所に3年間保存しなければなりません。

 

事故の規模によって国土交通大臣への報告が必要

事故の規模によっては30日以内に国土交通大臣への報告が必要になります。かなり量が多いので、軽貨物ドライバーに関係ある部分だけ抜粋してみます。

  • 自動車が転覆・転落・火災を起こした場合・電車と衝突した場合
  • 10台以上の自動車の衝突又は接触
  • 死者又は重傷者を生じた事故
  • 酒気帯び運転・無免許運転
  • 運転者の疾病により、事業用自動車の運転を継続することができなくなったもの
  • 救護義務違反があったもの
  • 自動車の装置の故障により、事業用自動車が運行できなくなった場合
  • 車輪の脱落、被牽引自動車の分離を生じたもの
  • 高速自動車国道又は自動車専用道路において、3時間以上自動車の通行を禁止させたもの
  • 国土交通大臣が特に必要と認めたもの

該当する場合は30日以内に国土交通大臣に報告しなければなりません。実際に報告する場所は国土交通省ではなく、事業所がある地域を管轄している運輸局になります。
運輸局の検索はこちら ↓
自動車検査登録総合ポータルサイト:全国運輸支局等のご案内

特に可能性が高いのは、酒気帯び運転・自動車装置の故障でしょう。酒気帯び運転に関しては自分の管理次第なので、コントロールしていきましょう。

自動車装置の故障に関しては、定期的に点検をしておく以外にありません。電気系統はいつ故障するか読めませんが、それ以外のものは故障する前に予兆があるはずなので、少しでも気になったら点検・修理をするようにしましょう。

 

報告義務を怠るとペナルティを受ける可能性がある

事故報告は義務なので報告を怠った場合、行政処分や刑事罰になってしまう可能性があります。

違反内容行政処分刑事罰
虚偽報告事業許可取り消し3年以下の懲役/300万円
重大事故隠蔽5年間の入札資格停止5年以下の懲役/500万円
30日超過報告改善命令+ネガティブリスト掲載(国土交通省HP)100万円以下の過料
再発防止策未実施運行計画書の事前承認義務化(6ヶ月間)

上記を見て分かる通り、かなり重いペナルティになっています。事業許可の取り消しや罰金・懲役なんて考えたくもありませんよね?個人事業主の軽貨物ドライバーであれば、一発で人生アウトになってしまうでしょう。

そうならないためには、怠ったりせずにしっかり報告をするしかありません。

 

業務・事故の記録 まとめ

ここでは今までのまとめをしていきます。業務記録については以下の通り。

業務記録のまとめ

●業務記録は12項目を記入する

●1年間の保存義務がある

●虚偽の記録は行政処分を受ける可能性がある

特に虚偽の記録は、事業許可の取り消しや50万円以下の罰金など、良いことは1つもありません。面倒なのはわかりますが、虚偽の記録は絶対にしないようにしましょう。 

 

事故の記録については以下の通りです。

事故の記録まとめ

人身事故・物損事故のどちらも事故の記録はつけておく

事故の原因と再発防止対策を記入する

特に、再発防止対策は実行できるよう具体的に記入するようにしましょう。再発防止対策を記入したにもかかわらず、実行していない場合は行政処分のペナルティを受ける可能性があります。

 

2025年4月から、貨物軽安全管理者の改正で業務と事故の記録が義務になりました。無視するとそれ相応の罰則があるので、自分を守るためにもしっかりと実行していきましょう。

貨物軽安全管理者の詳しい記事はこちら ↓
個人事業主も2年ごとに更新が必要!貨物軽自動車安全管理者講習の受講場所と料金は?

運転者適性診断の詳しい記事はこちら ↓
2025年から軽貨物ドライバー必須!運転者適性診断の5つの種類・料金を完全解説!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA